今年(2015年)度4月から日本学術振興会北京研究連絡センター長に就任致しました廣田薫と申します。私は、計算知能(CI:Computational Intelligence)という分野で、大学において40年近くにわたり研究教育に携わってまいりました。国際交流という観点からは、28か国から100名以上(中国からは30名)の留学生・研究者を受け入れ、5つほどの国際会議の創設運営、CI分野の国際論文誌の刊行などを行ってまいりました。それらの経験も活かして、日中学術交流の拠点として当センターが発展すべく、尽力したいと存じます。
日本学術振興会(JSPS:Japan Society for the Promotion of Science)は、1932年に発足以来、科学研究費補助金などの学術研究助成、研究者養成の資金提供、学術に関する国際交流の促進、などを実施してきている日本を代表する学術振興のための組織です。そして、国際的視野から学術交流を促進するために、ロンドン・ストックホルム・カイロ・ワシントンなど世界10か所に海外研究連絡センターを有し、北京研究連絡センターは2007年4月に設立されました。そして、私は、福西・佐々木・和田の3名の前任センター長に続いて、本年4月から第四代のセンター長として就任することになりました。
JSPS本部が公募する国際事業のうち、中国を対象としたものには、外国人特別研究員事業・外国人招聘研究者事業、二国間交流事業・論文博士取得希望者支援事業・日中韓フォーサイト事業・研究拠点形成事業などがあります。一方で、JSPS北京研究連絡センターが、独自に企画実施する事業としては、国際フォーラム/シンポジウムの開催や事業説明会の開催などがあります。昨年11月には、清華大学・中国科学院(CAS)・JSPS共同で、和田前所長の専門分野であるフォトニクスをテーマに、ノーベル賞受賞の天野名大教授らを招いた国際シンポジウムを実施しました。また、JSPS中国同窓会と連携して、北京をはじめ、吉林省・山東省・江蘇省・安徽省・上海市・福建省・湖南省・広東省。湖北省・四川省・甘粛省・雲南省で、事業説明会などを実施し、JSPS国際交流事業への参加希望者にとって有益な情報交換の場も提供しています。さらには、近隣国のモンゴルとの学術交流もスタートすることもできました。
前述のJSPS中国同窓会は千数百名の会員を有しており、希平会(日中高等教育交流連絡会)も長年活発に活動をしております。そして、当センターでは、日本の大学等の海外活動展開にも協力支援をしております。さらには、外国人研究者再招へい事業(Bridge Fellowship Program)や、和田前所長の立ち上げによる在中国日本人研究者ネットワークなどなど、各種事業が目白押しです。
一方で、昨今、政治分野では、日中関係に微妙な変動がみられることも事実です。しかし、学術交流の分野では、これまでの長年の実績を活かして、輝かしい未来に向かって前進するのみです。就任して間もないこともあり、今後の運営については、その責任の重さにいささか緊張気味ですが、当センターの多数のスタッフと共に、新しい環境で頑張っていく決意を改めて固めているところです。どうぞ皆様からも、変わらぬご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
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