日本学術振興会は、日本を代表するファンディングエイジェンシーとして、研究者の自発的・独創的な研究を支援する科学研究費補助金(科研費)事業、若手研究者の養成事業、学術の国際交流事業を実施し、世界トップレベル研究拠点プログラムなどを推進しています。また、国際的な学術交流と連携・共同を推進するために、海外に研究連絡センターを設置しています。この一つとして、日本学術振興会北京研究連絡センター(北京センター)は2007年4月に10番目の海外センターとして開設されました。
近年、中国は学術研究の展開、新領域の開発、高等教育改革をエネルギッシュに推進しています。世界の大学は中国における研究と教育に新たな可能性をかけて、中国の大学と連携して大学・大学院を設置する事例も多く出てきています。中国の科学技術、高等教育をめぐる状況は、今後数年間で大きな変化を生み出すものと予想されます。日本と中国との学術交流の形態も、大きく変わらざるを得ません。この中で、北京研究連絡センターは、研究者の自発的で独創的な研究を支援するという日本学術振興会の理念を実現し、中日学術交流事業の推進を支援するために、これまで以上に多彩な活動を展開したいと考えています。
また、北京研究連絡センターのミッションの一つに、日本と中国の学術研究交流プラットフォームを育成する事業があります。この中核となるのが、日本学術振興会の事業で日本で研究された方々が組織するJSPS同窓会です。JSPS同窓会は世界13の地域で組織されていますが、中国同窓会は最も規模が大きく、会員は既に1174名を数えるまでになっています。こうした方々の活動の蓄積が、21世紀における世界の中の日中学術交流を推進する理念と構想力を育む岩盤となるに違いありません。北京研究連絡センターが、日本と中国の学術研究の交流プロットフォームの形成にしっかりと役割を果たせるよう尽力したいと存じます。
日中の学術と文化の交流が多様に展開するように、皆様とともに活動していきます。JSPS北京研究連絡センターに昨年にもましてご協力をいただきますよう、宜しくお願いを申し上げます。
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